ポータブルカーナビで日光の紅葉を愉しむ ソニー“nav-u”最新モデルをチェック【前編】
ドライブに出かけるとき、何よりも頼りになるのがカーナビだ。目的地までの道順を案内してくれるだけではなく、現在位置から最も近いガソリンスタンドや飲食店、観光スポット、道の駅なども教えてくれる。特段、目的地を指定しなくても、今走っている場所が分かるだけで大いに助かるものだ。
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筆者は、初めて購入した中古車がカーナビ付きだったこともあり、歴代の愛車もナビ付きにしてきた。これまで利用してきたカーナビを振り返ると、CD、DVD、HDDタイプと、まさにカーナビの進化の系譜そのもの。そんなカーナビ愛好者の筆者が、一度使ってみたいと思っていたものがある。「PND」と呼ばれるポータブル型カーナビだ。従来の車内据え付け型と違い、本体を取り外して持ち運べるというのが大きな特長となっている。
機能面では据え付け型のカーナビよりも劣るのだが、そんなことを補うほどの魅力がPNDにはある。それは価格だ。安いものでは5万円ほどで購入できる。昔からカーナビを使ってきた方なら、ナビは最上位機で30万円以上、安いものでも10万円はする……というイメージがあるだろう。それがPNDなら、5万円も出せば手に入るというのだから驚きだ。
PNDが市場に投入されてから久しいが、その分、洗練され、機能的になってきたと聞く。安かろう悪かろうではなく、実用的になってきているらしい。この辺り、どことなくネットブックとノートパソコンの関係に似ている。当初は低価格が売り物のマニア向けパソコンだったネットブックだが、現在ではノートパソコンをしのぐ人気商品となった。プライベート用途ならネットブックで十分という方も多いはずだ。
そう考えると、ますますPNDの存在が気になる。普通のカーナビと比べてどのくらい使えるのか。今回は気になるPND、いわゆる“5万円カーナビ”の性能を検証してみたい。テスト機に選んだのは、ソニーのnav-uシリーズの最新モデル「NV-U75V」(11月7日発売予定)。ワンセグチューナー内蔵モデルの実売予想価格は6万5000円前後となっている。ワンセグなしの下位モデルも11月14日発売予定で、こちらの実売予想価格は5万5000円前後だ。
7日に発売される「NV-U75V」は、持ち運びが可能なポータブル型カーナビ。実売予想価格6万5000円前後という安さも大きな魅力だ(画像クリックで拡大)
「NV-U75V」はほぼ手のひらサイズ。バッテリーを内蔵しているので、持ち出して徒歩ナビにも使える(画像クリックで拡大)
nav-uの公式サイト。詳しい製品情報はこちらで。ユーザーになると、地図のアップデートファイルなどをダウンロードできる
交差点の指示精度は完璧! 到着も予定どおり
カーナビ愛用者の一人として、真っ先に検証してみたいのは、PNDのコストパフォーマンスだ。今回は「5万円カーナビの実力チェック」の前編として、「精度」「操作性」の2点に焦点を絞って紹介したい。テスト車両は3ナンバーの普通自動車(筆者の愛車)。ダッシュボードに「NV-U75V」を取り付け、愛車に標準搭載されているカーナビとNV-U75Vを見比べながら動作をチェックした。写真の右側に写り込んでいるのが自前のカーナビだ。
実は、愛車で唯一気に入らないのが、標準搭載のカーナビ。市販のカーナビに比べて液晶の解像度が低く、機能も少ない。筆者が購入した翌年のモデルから性能がアップしたこともあり、余計に不満が募っている。それと比べて、NV-U75Vは筆者を満足させてくれるのか? この点が個人的な関心ポイントだ。では、早速、検証結果を報告しよう。
今回は、カーナビの動作チェックということもあり、ドライブへと出かけることにした。行き先は、ちょうど紅葉が見ごろを迎えた日光。小学校の修学旅行以来、十数年ぶりにいろは坂を上り、奥日光を満喫することにした。最初の目的地は、中禅寺湖と男体山を一望できる日光一の撮影スポット「半月山展望台」。いろは坂を上り、中禅寺湖の湖畔に出たらすぐに左折、山道を10km弱走ると、終点の半月山駐車場に着く。目的の展望台は、この駐車場からさらに登山道を20分ほど上らなければならない。NV-U75Vには、半月山の山頂を目的地として設定。朝5時にカメラマンを乗せ、神奈川・都筑区を出発した。
道中、まず注目したのはナビの精度だ。PNDは、本体を取り外して持ち運べるよう、GPSのアンテナを内蔵している。検証前に屋内で動作させたところ、GPSの電波を受信できず、現在地が示されなかった。そのためアンテナの感度が低いのでは……と心配していたのだ。しかし、実際に車内で使ってみると、そんな不安はすぐに消えた。表示される現在位置は、据え付け型のナビと全く変わらない。右左折する交差点の指示も遅れることなく、道を間違えることは一度もなかった。交差点までの残り距離を“インジケーター”で示す機能もとても分かりやすい。現在のカーナビを含め、これまで使ってきたナビは、残り距離を“数字”で示すものばかりだった。運転中に数字を確認するのは難しいが、インジケーターなら前を向いていても視野に入れやすく、交差点までの距離も直感的に判断できる。もちろん大きな交差点では、走行レーンの指示も出るのでレーン取りしやすい。
精度面で気になったのは首都高速に入ってから。用賀から首都高速3号線に上がったのだが、NV-U75Vは一般道から高速に上がったことを認識できなかった。首都高速など、一般道の真上に高速道路のある路線では起こりがちなミスだが、やはり気になる。ミスを誘発させた一因として、NV-U75Vは首都高速経由ではなく、外環自動車道経由で東北道へと向かうルートを示したことが考えられる。最初から首都高経由のルートが示されていれば、状況は違ったかもしれない。結果的には、一般道と誤って認識したまましばらく走行。高速道路の走行表示に切り替わったのは、三軒茶屋付近だった。ミスするのは仕方がないとしても、もう少し早く修正してほしいものだ。
高速道路の走行表示に切り替わってからは順調そのもの。ジャンクションの指示から、合流方向の指示まで、据え付け型のナビと同じ精度でこなしていった。スタート時に示された到着予定時刻は7時56分だったが、実際の到着時刻もほぼ同じ。平日の朝5時出発だったため、渋滞に出くわさなかったことも功を奏しているが、基本的なナビ機能に関しては文句なしの合格点をあげたい。初めてPNDを使った感想は、「これが6万5000円!」と声を上げたくなるほど。据え付け型のナビに劣らない精度に、正直なところ驚くばかりだった。
首都高速3号線を走行中のナビ画面。一般道を走行していると誤認されていたため、三軒茶屋入口から首都高速に進むように指示が出た(画像クリックで拡大)
三軒茶屋の入口を過ぎると、高速道路の走行表示に切り替わった。愛車は首都高速の環状線から5号線へ。ジャンクションの1km手前を過ぎると、車線変更の指示が出た。右側のインジケーターがジャンクションまでの残り距離を示している(画像クリックで拡大)
東北道、宇都宮IC手前。この先、宇都宮の出口から日光宇都宮道路へ向かう。NV-U75Vも、愛車の標準ナビもほぼ同じタイミングで指示が出た。現在地表示の精度は十分だ(画像クリックで拡大)
ナビの指示に従って運転し、迷うことなく目的地の半月山に到着した。出発から約3時間は、ナビの予想どおりだ(画像クリックで拡大)
操作性はまずまずだが、地図のスクロールに課題
2つ目のポイント「操作性」について見ていこう。NV-U75Vをはじめ、最新カーナビの大半はタッチパネルを採用しており、液晶画面に指で触れて目的地の設定、地図の拡大縮小などを行う。NV-U75Vの場合、画面左側にはメニューと現在位置のボタンがあるだけで、あとは画面上にメニューを表示させて操作する仕組みになっている。見た目も携帯音楽プレーヤー風でカッコイイ。本体を取り外して持ち運ぶときも、実に絵になるPNDである。このタッチパネル、メニュー操作は感度も良く、何度となく目的の住所を入力してみたがミスなく操作できた。
唯一、不満に思ったのは地図のスクロール操作だけ。液晶上を指でなぞるようにすると、地図を上下左右に移動できるのだが、このときの反応がイマイチなのだ。発売前の試作機でテストしたため、製品版では改善されているかもしれないが、地図をスクロールさせようと思うとツーテンポくらい遅れて表示位置が移動し始める。ほかのカーナビと比較して“悪い”という印象を持ったわけではないが、若干遅さを感じてしまった。
カーナビには酷な話だが、今のユーザーはスクロール地図に慣れている。パソコンを使えば、グーグルマップのようなスクロール地図が無料で使えるためだ。ご存じのようにインターネット上にあるスクロール地図は、非常にスムーズ。表示位置を自在に移動できる。こうした現状が、スクロール地図に求められるハードルを上げてしまったのだろう。少しでも地図のスクロール速度が遅いとイライラしてしまうのだ。PNDの処理能力を考えると難しいのは百も承知だが、すでに快適なスクロール地図が普及してしまった現状では、パソコンと同程度まで改善されなければユーザーは納得しないはずだ。
さらに提案させてもらうと、シングルタッチには古さを感じる。携帯音楽プレーヤーをはじめ、パソコンでもマルチタッチが増えてきた。地図の拡大縮小を2本の指で行う操作など、マルチタップ化するとますます使いやすくなるはず。ぜひ検討してほしい。
メニュー画面のトップ。目的地の選択肢として、大きく「行き先」「最寄」「自宅/お気に入り」の3つがある(画像クリックで拡大)
住所などを直接指定するときは、トップメニューの「行き先」を選択。この画面から、さらに住所を選び、都道府県名や市区町村名、番地を入力する(画像クリックで拡大)
もちろん、地図上から目的地を指定することもできる。地図をスクロールして目的地を表示させ、「ここへ行く」を選ぶと、ルートが検索される(画像クリックで拡大)
静電容量式タッチパネルを採用するNV-U75V。メニュー操作の反応はまずますだが、地図のスクロール操作に移るまでの時間が遅く、指の動きとの連動性が気になった(画像クリックで拡大)
輝度とコントラストが液晶の小ささをカバー
操作性面でもう1つ注目したのは「液晶」である。PNDは、本体を取り外せるというポータブル性のため、液晶サイズが小さい。NV-U75Vの場合でも、液晶は4.8型しかなく、7型の据え付け型と比べると見劣りする。
液晶が小さいと、気がかりなことがある。それは地図の見やすさ。地図上の文字や現在地が確認しづらいのではナビとして失格だ。しかし、実際に使ってみると、その考えは改めさせられた。確かにサイズは小さいが、実用上の支障はあまり感じさせないのだ。もともと走行中には、ナビの画面をじっくり見ることはない。右左折する交差点が近づけば、声で知らせ、交差点までの距離やレーンを大きく表示する。画面は小さくても、進む方角が分からなくなるほどではなかった。ただし、地図を2画面表示すると、1つの地図で表示できる範囲が狭まってしまう。やや見づらく思えるのだが、これも慣れの問題かもしれない。
愛車の標準ナビと比較してみると、NV-U75Vは輝度とコントラストの高さで秀でていることに気づいた。標準ナビがあまりにヒドいせいもあるが、NV-U75Vの明るい画面がキレイに思えて仕方がないのだ。夜はもちろん、昼間でもその差は歴然だった。
気になった点は、グレア液晶のために表面がピカピカとしていることくらい。太陽の光が横から車内に差し込むと、液晶表面が確認しづらくなる。そうなると、本体の角度を微調整しながら運転するしかない。また、タッチパネル式の宿命だが、指で操作するため、だんだん汚れが目立ってくる。見やすい状態を保ちたいなら、こまめに汚れをふき取らなければいけないだろう。
NV-U75Vはポータブル型のカーナビなので、据え付け型と比べると液晶サイズが小さい。ただし、液晶の性能は、比較した愛車の標準ナビよりも高いようだ。画面が非常に明るく、クッキリと地図を表示している(画像クリックで拡大)
地図を2画面表示にしたところ。縮尺の異なる地図を並べて表示することで、近距離と中長距離のルートを確認できる。据え付け型のカーナビと比べると、少し見づらく感じる(画像クリックで拡大)
グレア液晶のため、光を反射しやすいのが難点。写真は、分かりやすいように電源オフの状態で撮影した。電源が入った状態でも、日の差す方向と液晶の角度次第で地図が見づらくなる(画像クリックで拡大)
今回は、「5万円カーナビの実力チェック」の前編として、精度と操作性の側面から評価してみた。最新のPNDを触ってみた感想は、思いがけなく良いものだった。現在位置表示の精度は普通のカーナビに劣らず、目的地までの道順も遅れることなく案内してくれる。地図データがCDに収められていたころのカーナビだと、車が海の上や川の中、道のない公園を横切るということがあったのだが、さすがに最新のカーナビでは皆無。首都高速に入ったのを認識しなかったくらいで、「どこを走っているのだ!」と突っ込みを入れたくなるような場面はなかった。検証するのが野暮なほど、無難に使える。“地図代わり”または“道案内”というナビ本来の目的で選ぶなら、PNDで十分というのが筆者の結論だ。取り付けも簡単なので、レンタカーを利用してドライブに出かけるといった際にも打って付けだろう。
着脱方法はとても簡単。まず台座となるクレードル部分を、ダッシュボードに吸着させる。底面の吸盤部が前モデルより小型化され、狭いダッシュボードにも取り付けやすくなった(画像クリックで拡大)
ナビ本体をクレードル部のスタンドに装着すれば取り付けは完了だ。電源はシガーソケットを利用する(画像クリックで拡大)
著 者
原 如宏(はら ゆきひろ)
パソコンから食べ物まで、ジャンルにこだわらず手がけるライター界のなんでも屋。メインの移動手段は“徒歩”というエコ生活を実践中。
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